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顔のないヒトラーたち
この映画は、ずっと見たかった作品だった。
私は、80年代の生まれだ。だから、いわゆるノンポリと
言われた世代よりさらに、政治信条に対しては共感する部分が
少ない。
加えて、ヒトラーという独裁者は、ドイツ国民の代表では
ないと言わんばかりのレジスタンスストーリーにも
正直食傷気味だった。
そんな私が、特に見たいと思ったのはこの作品だった。
まずあらすじと予告編をみていただきたい。
この予告編にあるアウシュビッツの
生き残りの、初老のユダヤ人男性 シモンに
たばこの火を貸す男のうでに、SSの認識番号を見つけて
驚愕の表情をするシーンが怖くてたまらなかった。
私は、最近人間の感情の中で怖れというものに興味が出てきている
喜び、悲しみ、怒りは、正直個々人で、あまりにも違う。
しかし、怖いという感情は、怖いと感じるものは
そこまでの差異はないように思う。
わき道にそれてしまった。
しかし、この混沌とした戦後ドイツの空気が実に
上質かつ、叙情的になりすぎもせず描かれている。
この映画はもちろんドイツの製作だ。。
私は、別に過去の戦争について反省すべきだと
思うのではない。そこではなく、この向き合い方をつらぬいてる姿勢は
本当にすばらしい作品だと思う。